火力発電所のベース負荷からピーク負荷への対応[施設管理2]

火力発電所の役割が,ベース供給の運用からミドル供給やピーク供給電源として活用される機会が多くなっています。

この対応として,火力発電所に要求される性能について説明します。

 

目次

  1. 始動時間を短縮する
  2. 始動損失を低減する
  3. ユニットの疲労破壊を防止する
  4. 運転操作を簡略化する
  5. 環境問題への配慮
  6. まとめ

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ピーク時の負荷対応は水力発電所が最適ですが,必要な容量が不足しがちです。

 

現在はピーク負荷などの変動負荷への供給に,火力発電所が使用される場合が多くなっています。

 

ピーク負荷に対応できるよう,火力発電所に求められている特性を説明します。

 

1.始動時間を短縮する

 

従来の火力発電所では,ボイラ点火から全負荷に到達するまでの時間(始動時間)は数時間以上かかっていました。

 

ミドル負荷やピーク負荷に対応するためには,負荷変動への迅速な追従が求められます(変圧運転と呼ぶ)。

 

よって,できるだけ始動時間の短いユニットにする必要があります。

 

2.始動損失を低減する

 

一般的に火力発電所の効率は全負荷運転時に最高効率となります。

 

始動停止を繰り返せば,運転効率の悪い部分負荷運転の割合が大きくなって年間の運転効率の低下につながります。

 

部分負荷運転の時間を短縮するため,始動時間を短くできる変圧ボイラなどを採用することで,始動損失の低減が期待できます。

 

3.ユニットの疲労破壊を防止する

 

始動停止を繰り返すとユニットは熱応力で疲労破壊を起こして寿命が短くなります。

 

できるだけ熱応力が加わらないよう,温度変化を抑制できる変圧ボイラの採用や,蒸気温度を適正化する装置などを採用することで,ユニットの負担が軽減されます。

 

4.運転操作を簡略化する

 

火力発電所は始動停止時の運転操作が煩雑です。

 

運転員の手作業となる部分も多いことから,運転員に過酷な労働を強いることになります。

 

労働環境の改善として,始動停止時の操作をコンピュータなどにより自動化して,運転員の操作を簡略化することが望ましい。

 

5.環境問題への配慮

 

深夜の起動停止時に,遮断器や蒸気ブローの騒音が問題になることがあります。

 

これらの騒音に配慮した施設を設計する必要があります。

 

6.まとめ

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いかがでしたか。

 

火力発電所は負荷変動に追従するために重要な働きを担っていることが理解できましたか。

 

太陽光発電所や風力発電所などの自然エネルギーの活用が増えており,ますます負荷変動に追従するニーズが増大していますね。

 

要求される特性として,始動時間を短縮できるユニットを採用して,部分負荷運転時間を短くすることで,運転効率の悪化や始動損失の増加を抑制できますね。

また,熱応力の抑制や運転員への配慮,夜間の騒音問題も考慮する必要がありますね。

 

電験取得に向けて情報発信を続けますので,一緒にがんばりましょう。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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