電力系統に発生する異常電圧の種類と発生原因について説明します。
目次
- 雷による異常電圧(外雷)
- 過渡的内部異常電圧(内雷)
- 持続的内部異常電圧(内雷)
- まとめ
電力系統に発生する異常電圧は主に2つに分類できます。
1つ目は雷による外雷です。
2つ目は電力系統内の開閉操作や事故発生時の健全相の電圧上昇による内雷です。
ここでは,これらの発生原因について具体的に説明します。
1.雷による異常電圧 (外雷)
(1)直撃雷
送電線の電線に雷が直接落ちた場合,直撃雷と呼びます。
直撃雷による異常電圧が送電線上を伝搬します。
(2)逆フラッシオーバ
架空地線や鉄塔に落雷し,がいしの絶縁を破壊して鉄塔から電線に逆フラッシオーバする。
逆フラッシオーバの結果,送電線に異常電圧が発生する。
(3)誘導雷
段階的に大地に向かって進む雷の先駆放電によって,静電的に線路にサージが発生する。
また雷雲下の送電線に雷雲底部の電荷と逆極性の電荷が誘導されます。
雷放電で雷雲の電荷がなくなると,送電線に誘導された電荷が解放されて,進行波として線路上を伝搬します。
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2.過渡的内部異常電圧(内雷)
(1)開閉サージ
スイッチング操作に伴う異常電圧として,再点弧,電流さい断,投入サージがあります。
再点弧サージは無負荷の送電線の遮断器を開路する場合に発生します。
一旦,充電電流を遮断した後,送電線の残留電荷による電位と遮断器の電位に差が生じます。
この電位差によって再点弧し,振動的な異常電圧を生じる場合があります。
電流さい断は変圧器の励磁電流のような遅れ小電流を急速に遮断すると,電流変化率が大きいため,自己インダクタンスに電圧を生じる現象です(V=L×di/dt)。
投入サージは,無負荷送電線に遮断器で電圧を加えると,投入時の電位差が大きい場合に,再点弧と同様に振動的な異常電圧を生じる。
3.持続的内部異常電圧(内雷)
(1)1線地絡時の健全相対地電位の上昇
電力系統の1相に地絡を生じると,健全そうの対地電位が上昇します。
中性点の非接地系統および抵抗接地系統では,定常時の約√3倍でおよそ2倍以下の電位上昇が生じます。
中性点の直接接地系統では,定常時の約1.4倍以下の電圧上昇が生じます。
(2)負荷遮断時の電圧上昇
発電所と変電所をつなぐ送電線の変電所側で負荷を遮断すると電圧降下がなくなり,フェランチ現象および発電機の加速により送電線の電圧上昇が発生します。
4.まとめ
いかがでしたか。
電力系統に発生する異常電圧には,雷による外雷と電力系統内の開閉操作や事故発生の内雷がありましたね。発生原因を整理しておいてください。
想定される異常電圧に応じて,対応方法も変わってきます。
これを絶縁設計とか,絶縁協調と呼んでおり,別の機会に説明します。
簡単に言いますと,外雷は変電所の外部で処理し,内雷は絶縁強度で対応することになります。
電験合格は計画的に準備が必要です。
コツコツと学習を続けましょうね。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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