電力系統の瞬時電圧低下の影響[施設管理5]

電力系統の瞬時電圧低下による需要家機器の影響と需要家機器での対策および電源側での対策について説明します。

 

目次

  1. 瞬時電圧低下の需要家機器の影響
  2. 瞬時電圧低下に対する需要家側の対策
  3. 瞬時電圧低下に対する電源側の対策
  4. まとめ

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瞬時電圧低下は電圧の低下度合や継続時間によって,需要家機器へ与える影響が異なってくる。

 

機器によって異なるが,影響を生じる電圧低下の度合はおよそ電圧低下が15〜50%以上,継続時間が0.01秒〜0.1秒程度以上からである。

 

1.瞬時電圧低下の需要家機器の影響

 

(1)直流安定化電源の負荷(パソコンなど)

 

交流から直流に変換する電源装置から供給を受ける電子機器(コンピュータ,通信機器,医療用機器,プロセス制御装置など)が影響を受ける。

 

電圧低下により,直流安定化電源装置の直流出力電圧が許容値よりも低下した場合に,電子回路の演算・論理・記憶部などの異常で機器が誤動作する。

 

(2)電磁開閉器を用いたモーター

 

工場の多くのモーターでは,停電時に電源を開放する電磁開閉器を用いている。

 

瞬時電圧低下ではモーターは運転継続可能であっても,電磁開閉器の自己保持が解かれて不必要なモーター停止を引き起こす。

 

(3)工場などの受電設備の不足電圧継電器

 

モーターなどの保護で不足電圧継電器を用いているが,継電器の動作整定時間が短いと瞬時電圧低下で継電器が動作して遮断器をトリップさせて,不要な停電を引き起こす可能性がある。

 

(4)サイリスタなど応用の可変速モーター

 

パワーエレクトロニクスを応用した可変速モーターでは,電圧低下によって制御回路が異常となる。

 

その結果,モーターの運転に異常をきたす。

 

(5)高圧放電ランプ(水銀ランプなど)

 

点灯中の高圧放電ランプが瞬時電圧低下によって消灯すると,短時間に電圧が復帰しても再点灯までに数分〜数10分の時間を要する。

 

また,安定点灯するまでにさらに数分を要する。

 

2.瞬時電圧低下に対する需要家側の対策

 

(1)正常動作を継続する対策(ハード的な対策)

 

①コンピュータなど電子機器は,電源側に無停電電源装置(UPS)あるいは定電圧定周波数装置(CVCF)を用いる

 

②直流安定化電源内のコンデンサ容量を大きくして,コンデンサバックアップの機能を高める。

 

③瞬時電圧低下時に電磁開閉器が開放しないよう,遅延開放型を用いる。

 

④保護機能面で支障がない範囲で不足電圧継電器の動作整定時間を長くする。

 

(2)停止時の再起動(ハード的対策)

 

①放電ランプが瞬時電圧低下で消灯した場合,直後に高電圧パルスを加えて放電条件を瞬時に回復させる。

 

②可変速モーターの場合,瞬時電圧低下を検出したら,安全のためコンバータやインバータをロック状態とする。

 

電圧が復帰した後,自動的に正常な運転状態に戻す。

 

(2)ソフト的な対策

 

雷情報などを活用して,瞬時電圧低下によって被害が大きくならないよう機器やシステムを停止または部分的な停止などの予防措置を行う。

3.瞬時電圧低下に対する電源側の対策

 

(1)瞬時電圧低下の原因となる事故の除去時間を極力短くする。

 

(2)電力系統のケーブル化を進めて,瞬時電圧低下の原因となる自然災害の影響を受けにくくする。

 

(3)電力系統を分割して故障範囲を縮小する。

 

(4)遠方で発生した事故の影響を受けないよう需要家近くに電源を分配する。

 

3.まとめ

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いかがでしたか。

 

瞬時電圧低下は需要家設備の運用のおいて,大きな影響を与える場合がある。

 

なるべく需要家設備の近くで,無停電電源装置などで対策を行うことが最も効果が高いが,運用面を工夫することで,ソフト的に対策を行うことも方法の1つと言える。

 

電験の取得は時間のかかる作業です。

 

2種と1種は特に区別する必要はありません。

 

問題集は同じで,あとは過去問を繰り返しやり続けることが大切です。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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