電力系統の絶縁協調の解説[施設管理4 ]

電力系統の絶縁協調を説明します。

 

目次

  1. 送電線の絶縁協調
  2. 発変電所の絶縁協調
  3. まとめ

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電力系統の絶縁協調とは,電力設備の絶縁設計と保護装置を合理化することで,絶縁に要する費用を抑えつつ,最大限の系統信頼性を得ることが目的である。

 

例えば,送電線の絶縁を変電所と比べて過度に強くすると,送電線から変電所に侵入する雷サージが過大になり,変電所内での絶縁破壊が懸念される。

 

逆に,送電線の絶縁が低すぎると雷撃による送電線事故の増加をまねいてしまい,電力系統の信頼度の低下が懸念される。

 

よって,この両者にまたがった合理的な絶縁設計を行うことが重要であり,絶縁協調が求められる理由である。

 

1.送電線の絶縁協調

 

(1)内雷に対してはフラッシオーバさせないよう最低限の絶縁強度を決定する。

 

すなわち,雷以外の開閉サージや故障サージではフラッシオーバや絶縁破壊が生じないよう,がいしの絶縁強度を定めて線間・対地間距離を十分にとる。

 

(2)外雷に対して完全に遮蔽する。

 

すなわち,雷撃に対する架空地線の保護角内に送電線の電力線が収まるよう設計する。

 

(3)鉄塔の塔脚接地に埋設地線を用いる。

 

すなわち,鉄塔からの逆フラッシオーバを極力防止できるよう,埋設地線などを用いて塔脚接地抵抗を低減させる。

 

2.発変電所の絶縁協調

 

(1)電力線への直撃雷の防止

 

発変電所の母線や至近端の送電線への直撃らいは,変電所の避雷器では完全に保護できないことから,発変電所とその至近端の送電線では架空地線の多条化で雷遮蔽を施す。

 

また,発変電所や至近端の送電線の接地抵抗を低減して,架空地線への雷撃を速やかに地面へ流して,雷遮蔽の効果の向上を図る。

 

(2)侵入雷サージの阻止と絶縁設計の合理化

 

電力線への直撃雷の侵入,鉄塔逆フラッシオーバによる雷サージの侵入,誘導雷の侵入などに対し,従来の絶縁協調は送電線と変電機器および変電機器相互間に絶縁格差を設けて保護してきた。

 

すなわち,遮断器などの故障の除去を目的とする機器は,変圧器等の被保護機器よりも高い絶縁をもたせるとともに保護ギャップを併用して遮断器自体の故障を回避してきた。

 

しかし,避雷器の特性が向上したことから,その位置配置を適正にすること,発変電所内の過電圧を一定レベル以内に抑制できるため,各設備の絶縁強度を一定に設計できるようになっている。

 

(3)主要機器の絶縁強度

 

発変電所の母線がいし,機器支持がいし,変圧器,変成器,リアクトルなどは,少なくとも避雷器の制限電圧以上の雷サージに対する絶縁強度をもつよう,余裕をもった設計にする。

 

(4)避雷器と被保護機器の許容距離

 

侵入した雷サージの大きさ,波形,避雷器の制限電圧特性などに応じて,被保護機器の過電圧が想定内に抑制されるよう避雷器と被保護機器の配置を定める。

 

(5)その他

 

変圧器の中性点を非接地または抵抗接地とした場合,中性点にその絶縁レベルに見合った避雷器または協調ギャップを設ける。

 

また,線路引込口の断路器の線路側に接続するVT,PD(結合コンデンサ)などの絶縁は格上げし,引込口断路器の極間絶縁は線路側の対地絶縁を上回るよう設計する。

 

さらに,汚損区域の送電線や発変電所で過度な絶縁を持たせた場合には,架空地線から侵入する雷サージが上昇することから,変電所至近端の送電線のホーンギャップ長を短くするなどで侵入する雷サージの波高値の低減を図る。

 

3.まとめ

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いかがでしたか。

 

電力系統の絶縁協調がなければ,発変電所の侵入サージが大きくなり事故を増加させてしまう。

逆に不要な送電線事故は系統信頼度を低下させてしまい,最適な信頼性が得られないだけでなく,費用の増大をまねいてしまう。

 

よって,送電線と発変電所の絶縁設計を合理化することで,信頼性および費用の最適化が図られるのです。

 

今回の内容は電力設備の形成に大きな影響を与える重要な項目ですのでしっかりと理解してくださいね。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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