水力発電所で使用される水車とそれぞれの適用有効落差流域および効率特性の特徴を解説する。
目次
- ペルトン水車
- フランシス水車
- 斜流水車(デリア水車)
- プロペラ水車
- 円筒水車(チューブラ水車)
- まとめ
水力発電所で用いられる代表的な5種類の水車とし,ペルトン水車,フランシス水車,斜流水車(デリア水車),プロペラ水車,円筒水車(チューブラ水車)の適用有効落差および効率特性の特徴を説明する。
ただし,適用落差は拡大傾向にあるので目安とする。
1.ペルトン水車
(1)適用落差は,主に200m以上の高落差
(2)効率・特性
・最高効率はフランシス水車より若干劣るが,流量が変化しても噴射水の方向が変わらないため,諸損失の増加は大きくなく,部分負荷運転における効率低下が少ない。
・他ノズルの場合では,ノズルの使用数を水量に応じて増減することにより効率の平坦な運転ができる。
・変落差特性が悪い。
2.フランシス水車
(1)適用落差は,主に50〜500mの中落差〜高落差
(2)効率・特性
・最高効率は高いが,フランシス水車のランナは固定羽根であるため,最高効率点以外の負荷においては,ガイドベーンからの水の流入角,流速にランナ入口角が一致しないので効率が悪くなる。
・部分負荷では,ペルトン,ランナが稼働羽根であるカプラン,斜流の各水車より効率が悪く,その傾向は比速度が高いほど著しい。
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3.斜流水車(デリア水車)
(1)適用落差は,主に40〜180mの高落差
(2)効率・特性
・流量の変化によって水の流入角が変化するが,可動羽根であることから流入方向に対して最適な羽根角度を選べるため諸損失が少なく,部分負荷でも効率の低下が少ない。
・変落差,変負荷の発電所に適する。
4.プロペラ水車(可動羽根はカプラン水車)
(1)適用落差は,主に5〜80mの低落差〜中落差
(2)効率・特性
・固定羽根プロペラ水車は,部分負荷の効率がペルトン,フランシス,斜流の各水車よりも低いため,落差・負荷が一定の場合もしくは台数の多い発電所のベースロード用として用いると経済的である。
・可動羽根プロペラ水車のうちカプラン水車は,斜流水車と同様な平坦な効率特性をもち,変落差,変負荷発電所に適している。
5.円筒水車(チューブラ水車)
(1)適用落差は,主に20m以下の低落差
(2)効率・特性
・渦巻ケーシングがなく,流水の通路がきわめて単純であることから効率が良い。
・ランナ羽根は多くは可動式であり,カプラン水車と同様の効率特性を有する。
6.まとめ
代表的な水車として,ペルトン水車,フランシス水車,斜流水車(デリア水車),プロペラ水車(可動羽根はカプラン水車と呼ぶ),円筒水車の解説をしました。
電験で何度か出されている設問ですので,しっかりと覚えてくださいね。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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