送配電線の損失低減対策を解説[施設管理6]

電気事業者の電力系統における送配電線の損失の低減対策を説明する。

 

目次

  1. 送電系統の損失低減対策
  2. 配電系統の損失低減対策
  3. 系統運用改善による損失低減対策
  4. まとめ

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1.送電系統の損失低減対策

  

(1)送電電圧に高電圧を採用する。

都市部(高密度負荷中心)への高電圧系統の導入。

 

(2)送電線の新設,回線増設,電線の張替(太線化,低損失電線化)

 

(3)調相設備の適正設置(電力用コンデンサ,分路リアクトル,SVC等で力率改善)

 

(4)直流送電の採用

 

(参考)

・損失W=3I^2 r=3VI のIを小さく,または,rを小さくする。

 

・無効電力Q=√3VI sinθ を小さくして電圧低下を抑制できれば,結果的にIが小さくなる。

 

2.配電系統の損失低減対策

 

(1)配電線新設または張替(太線化)

 

(2)配電電圧の昇圧

 

(3)力率改善用コンデンサの設置

 

(4)柱上変圧器の鉄損の軽減(アモルファス鉄心の採用など)

 

(5)ネットワーク方式の採用(高圧ネットワーク方式,22kVスポットネットワーク方式)

 

(6)配電線のループ化による電流の平均化,柱上変圧器の位置の適正化,低圧バンキング方式の採用など

 

3.系統運用の改善による損失低減対策

 

(1)送電系統のループ化による潮流の平均化と直列コンデンサの採用による力率改善

 

(2)電力潮流の制御を適正にする

 

(3)運転電圧の適正制御を行う

 

(4)変圧器,運転台数の適正な選定を行う

 

3.まとめ

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送配電線損失の低減対策について説明しました。

 

送配電線では,電圧昇圧や回線新設による電流の平均化,さらに,電線自体の抵抗値を低減させる太線化や低損失電線の採用などの対策がある。

 

また,電力系統で見れば,力率改善により潮流が適正に制御されると(Icosθのcosθが1に近づくの意味),無効電力が小さくなり運転電圧も適正に制御されることから損失低減につながる。

 

変圧器は鉄損と巻線によるリアクタンス分による電圧低下につながることから,適正な運転台数で運転することで損失低減につながる。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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