水力発電所の試験の目的と内容を解説[水力発電所4]

一般の水力発電所の試験のうち,負荷遮断試験,非常停止試験,負荷試験の目的と各々の内容を説明する。

 

目次

  1. 負荷遮断試験
  2. 非常停止試験
  3. 負荷試験
  4. まとめ

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1.負荷遮断試験

 

(1)試験の目的

 

水車発電機を運転中,電力系統の事故等により急に負荷を遮断した場合に,水車の回転速度が上昇し,発電機電圧も上昇する。

 

さらに,水圧鉄管の水圧も上昇する。

 

負荷遮断試験は,回転速度,発電機電圧,水圧鉄管の水圧の変動が許容値を超えることなく,水車発電機を安全に無負荷運転に移行できることを確認するために実施する。

 

(2)試験の内容

 

通常,最高落差で1/4負荷から開始する。

 

問題がなければ,2/4,3/4,4/4の全負荷の順で実施する。

 

各段階の回転速度,発電機電圧,水圧などをオシログラフで測定して,変動値が許容値以内に収まっており,安全であることを確認してから,負荷を増やしていく。

 

負荷遮断前の回転速度,発電機電圧,力率などはなるべく定格値とする。

 

操作は手動で遮断器を開放する。

 

2.非常停止試験

 

(1)試験の目的

 

水車発電機を運転中に,発電機,主力の変圧器などの内部故障(短絡,地絡など)が発生した場合に,継電器等の動作により,水車発電機の非常停止が安全に行われることを確認する。

 

(2)試験の内容

 

通常,1/4程度の軽めの負荷で,非常停止用継電器の接点を手動で閉じることにより,非常停止の動作を行わせる。

 

発電機用遮断器の開放などが設計された順序通りに行われて,水車が安全に停止することを確認する。

 

3.負荷試験

 

(1)試験の目的

 

発電機が許可された性能を持ち,安全な状態で最大出力での連続運転に耐えうることを確認するために実施する。

 

(2)試験の内容

 

回転速度,発電機電圧,力率などを定格値に近いあたいに保ち,定格出力による連続運転時の発電機巻線,軸受,主力の変圧器などの温度を測定する。

 

測定間隔は30分〜1時間とする。

 

試験は各温度が飽和して落ち着くまで行い,各温度データが規定値以内であることを確認する。

 

さらに,試験中に水車,発電機の振動の有無や各部分の漏油,漏水,異音,補機系統の異常の有無などを確認する。

 

4.まとめ

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水力発電機の負荷遮断試験,非常停止試験,負荷試験を説明しました。

 

負荷遮断試験は電力系統で事故が発生して,突然,無負荷になってしまった場合に,水車発電機が安全に停止するかどうかを確認する試験で,負荷を1/4負荷から徐々に増加させます。

 

非常停止試験は,水力発電機側の内部故障時に,継電器が検知して水力発電機を安全に停止させられるかを確認する試験で,1/4負荷程度で継電器を手動操作して実施します。

 

負荷試験は,定格運転時の発電機巻線,軸受,主変圧器などの発熱する部分の温度上昇を確認する試験で,定格運転を各部分の温度が飽和するまで実施します。

同時に振動の有無や漏油,漏水,異音,補機の異常などの有無を実施します。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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