原子力発電所の炉心の構成要素を解説[原子力発電所3]

軽水形原子力発電所の炉心を構成する要素を4つ挙げて,その概要について説明する。

 

目次

  1. 核燃料
  2. 減速材
  3. 冷却材
  4. 制御材
  5. まとめ

 

炉心は核燃料,減速材,冷却材,制御材などから構成されている。

 

1.核燃料

 

中性子の吸収による核分裂によって,熱エネルギーを発生する。

 

天然ウランにはウラン235が0.7%含まれるが,この含有率を人工的に3%程度まで高めた低濃縮ウラン(二酸化ウラン)が燃料として使われる。

 

燃料はステンレス鋼管製の被覆管の中に入れて燃料棒として使用される。

 

2.減速材

 

減速材は核分裂で生じた約2MeVのエネルギーをもつ高速中性子を,次の核分裂が起きやすい0.025eVの熱中性子に減速するためのもので,軽水(H2O)が使われる。

 

3.冷却材

 

冷却材は核分裂で発生する熱を外部に取り出して炉心を冷却するための流体であり,軽水が使われる。

 

すなわち,軽水形原子力発電所では,減速材と冷却材が軽水で兼用されている。

 

4.制御材

 

原子炉の起動・出力制御・停止・緊急停止など,原子炉の連鎖反応を制御する。

 

核分裂の連鎖反応を制御する制御材は,中性子吸収断面積の大きいことが必要である。

 

具体的には,ホウ素B,ハフニウムHf,カドニウムCdなどが使われる。

 

これらを棒状にして燃料棒の間を出し入れして核分裂を調整する。

 

5.まとめ

 

軽水形原子力発電所の炉心を構成する4つの要素として,燃料となる核燃料,中性子を減速させる減速材,熱を外部に取り出し炉心を冷却する冷却材,原子炉の起動・出力制御・停止・緊急停止など,原子炉の連鎖反応を制御する制御材について説明しました。

 

減速材と冷却材には軽水が兼用で使用されています。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!