架空送電線のコロナ放電の障害と軽減対策の解説[送電線5]

架空送電線のコロナ放電による障害の内容と軽減対策について解説する。

 

目次

  1. コロナ放電による障害の内容
  2. コロナによる障害の軽減対策
  3. まとめ

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1.コロナ放電による障害の内容

 

(1)コロナ損

 

電線表面の電位傾度が高くなってコロナを発生すると,コロナ損(電力損失)を生じて,送電効率が低下する。

 

(2)電波障害

 

コロナ放電によって障害電波を発生し,送電線周辺のラジオ,テレビなどの受信に悪影響を与える。

 

(3)電力線搬送への影響

 

送電線保護用の電力線搬送保護継電器や搬送通信装置に,雑音による悪影響を与えることがある。

 

(4)騒音

 

コロナ放電に伴って騒音が発生し,耳ざわりになることがある。

 

(5)高調波障害

 

コロナ放電によって,送電系統に高調波を発生し,通信線誘導障害が生じる恐れがある。

 

(6)電線類の腐食

 

コロナに原因する化学作用によって,電線とがいし付属金具との接触部などに腐食を生じることがある。

 

(7)コロナ振動

 

電線下面に水滴が付着しているとき,荷電した水の微粒子からコロナが発生し,その反動で電線の振動が生じることがある。

 

(8)消弧リアクトル系統での影響

 

コロナ放電を生じると,見かけの電線太さが増し,静電容量が増大するので,消弧リアクトルによる補償が不足することがある。

 

また,コロナ損によって地絡点の残留電流の有効電流分が増加し,消弧作用に影響することもある。

 

2.コロナによる障害の軽減対策まとめ

 

(1)電線表面の電位傾度を低下させるため,電線直径を大きくする。

 

あるいは,多導体を使用する。

 

(2)架線金具を突起物が少ないものとし,遮へい効果の高いリングホーンを用いる。

 

(3)通信設備に対しては,遮へい線を設置する。

 

また,ケーブル化するなどの対策をとる。

 

(4)電波障害対策としては,共同アンテナ,CATVの利用,放送出力の増大などがある。

 

3.まとめ

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架空送電線のコロナ放電による障害とその軽減対策について説明しました。

 

コロナ放電が発生することで,コロナ損失(電力損失)の増加,電波障害,コロナ騒音,高調波障害,コロナ振動などの障害が発生する。

 

コロナに起因する障害対策としては,多導体の採用や電線の太線化,遮へい効果の高いリングホーンの採用,通信線への遮へい線の設置,ケーブル化,電波障害対策としての共同アンテナやCATVの利用が挙げられる。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!