熱効率向上のためには,タービン熱落差を大きくすることが良い。
蒸気初圧と初温度を高めて,排気圧を低くすると効果がある。
しかし,初圧を高くすると排気温度が大きくなり,低圧タービン翼の侵食の恐れがある。
また,蒸気温度を過熱器などで高めるには材料の高温制約を受ける。
排気圧力低下は復水器の真空度,したがって冷却水温によって制約を受ける。
これらの制約を克服するためのサイクルとして,各々の蒸気サイクルがある。
1.再熱サイクル
一般に汽力発電所の蒸気タービンは高圧,中圧,低圧の各タービンから成り立っている。
高圧タービンで仕事をした蒸気を再びボイラに導いて加熱して温度を上げて,中圧タービンへ送る方式を採用している。
このように蒸気タービンの膨張の途中で加熱するサイクルを再熱サイクルと呼び,単位蒸気当たりの出力が増大し,熱効率も向上する。
再熱サイクルのT-s線図で示せば,上図のようになり,有効熱の増加の様子が分かる。
熱効率は次の通り。
n=出力/入熱✕100=[(i4-i5)+(i6-i7) ]/[ (i4-i2)+(i6-i5) ]✕100
2.再生サイクル
蒸気タービンにおいて,膨張の途中で蒸気の一部を抽出し,その蒸気をボイラ給水の加熱に利用するサイクルが再生サイクルである。
この抽出された蒸気は,まだ仕事のエネルギーを若干保有するが,本来復水器で放出されるべき潜熱を含めた全熱量が給水加熱器で回収される。
よって,抽気することによりタービン出力は若干減少するものの,給水温度の上昇により,ボイラで使用する燃料の節減がそれを上回り,サイクルの効率が向上する。
なお,抽気によるタービン排気量の減少はタービン最終段翼等が小型化できるメリットがある。
抽気の段数はプラントの規模によって異なるが,汽力発電所のタービンでは8段程度のものが多い。
1段抽気の場合であれば,抽気割合をm1とすれば,m1✕iaの熱エネルギーが回収されるが,仕事はm1✕(ia-i6)だけ減少する。
サイクルの熱効率は次の通り
n= [ (i5-i6)-m1✕(ia-i6) ]/(i5-i2')
3.再熱再生サイクル
再熱サイクルは単位蒸気当たりの出力の増大させる点に特徴がある。
一方,再生サイクルは熱効率の増加を与える点で熱力学的に著しい利点がある。
よって,この両者の効果を併用して再熱サイクルと再生サイクルを組み合わせたものが再熱再生サイクルである。
再熱再生サイクルは,最も熱効率の良い実用的なサイクルであるから,汽力発電所では大部分のプラントがこのサイクルを採用している。
4.まとめ
汽力発電所における蒸気サイクルについて説明しました。
高圧タービンで仕事をした蒸気を再熱器で温度を上げて,中圧タービンにおくる方式を再熱方式と呼びました。
再生サイクルは蒸気タービンから蒸気を一部抽出して,その蒸気をボイラ給水の加熱に利用するサイクルである。
再生再熱サイクルは,再熱サイクルと再生サイクルを組み合わせた方法で最も効率の良い実用的なサイクルである。
よって,大部分の汽力発電所はこのサイクルを採用している。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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