スポットネットワーク方式の解説[配電線4]

 

都市部のビル等の受電方式として採用されている,スポットネットワーク受電方式の概要と得失について説明します。

 

目次

  1. スポットネットワーク方式の概要
  2. スポットネットワーク方式のメリット
  3. スポットネットワーク方式の問題点
  4. まとめ

☆ライバルが絶対に言おうとしない電験論説攻略の秘訣☆

1.スポットネットワーク方式の概要

  

スポットネットワーク方式は,変電所から常時2〜3回線で受電する。

 

回線毎に受電用断路器(DS),ネットワーク変圧器(Tr),プロテクタヒューズ(SF),プロテクタ遮断器(CB)がそれぞれに設置されている。

 

※プロテクタヒューズ(SF),プロテクタ遮断器(CB)を合わせて,ネットワークプロテクタと呼ぶ。

 

負荷側を母線に並列に接続することにより,電源が1回線故障で停電しても無停電で供給できる方式である。

 

2.スポットネットワーク方式のメリット

 

(1)1回線故障時においても無停電供給できるので供給信頼度が高い

 

(2)一般的にネットワークプロテクタの設置費は高価だが,トランス一次側に遮断器を必要としないのでスペースも省略でき,経済的に有利である。

 

(3)事故時においても,ネットワークプロテクタにより完全に自動運転ができるので,運転保守の省力化となる。

 

3.スポットネットワーク方式の問題点

 

(1)ネットワーク変圧器は,負荷電流分布を適正化するため,通常の変圧器よりもインピーダンスを大きく設計してある。

 

よって,ネットワーク変圧器とネットワークプロテクタ間に短絡事故が発生しても,電源側の配電線の遮断器が動作しない場合がある。

 

このため変圧器二次側のインピーダンスをできるだけ小さくするよう設計し,短絡事故が生じないような機器配置,設計とする必要がある。

 

(2)ネットワーク母線の力率が進み力率になると,母線電圧が進み電流により上昇する。

 

そのため母線側が電源となって電流が変圧器に向かって逆流するとプロテクタリレーが動作して遮断される。

 

※プロテクタ遮断器は変圧器の1次,2次側の電位差を見た差電圧投入,無電圧投入,逆電力遮断の特性をもつ。

 

遮断されると進み電流はなくなるので遮断器は自動的に投入され,また進み電流が流れて遮断される,いわゆるポンピング現象が発生する。

 

この現象を防止するためには,ネットワーク母線の力率を自動力率調整器により常に遅れ力率とし,電力コンデンサはネットワーク母線に接続せず,各負荷端に接続する。

 

(3)単純な受電設備よりもネットワークプロテクタやPCTなどの計装関連も増え保守が複雑になる。

 

4.まとめ

☆電験論説の音声教材はこちらをクリック☆

  

都市部のビル等の受電方式として採用されているスポットネットワーク受電方式の概要と得失について説明しました。

 

スポットネットワーク方式は,変電所から常時2〜3回線で受電して,回線毎に受電用断路器(DS),ネットワーク変圧器(Tr),プロテクタヒューズ(SF),プロテクタ遮断器(CB)が設置されています。

 

 

負荷側を母線に並列接続し,電源が1回線故障で停電しても無停電で供給できる信頼度の高い方式である。

 

ネットワークプロテクタにより完全に自動運転が可能で,運転保守が省力化できる。

 

ネットワーク変圧器とネットワークプロテクタ間に短絡事故が発生しても,電源側の配電線の遮断器が動作しない場合があり,変圧器二次側のインピーダンスをできるだけ小さくするよう設計し,短絡事故が生じないような機器配置,設計とする必要がある。

 

また,ネットワーク母線の力率が進み力率になると,遮断器が遮断,投入を繰り返すポンピング現象が発生する恐れがある。

 

対策として,ネットワーク母線の力率を自動力率調整器により常に遅れ力率とする必要がある。

 

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう! 

 

☆ライバルが絶対に言おうとしない電験論説攻略の秘訣☆