1.ガス絶縁変電所の概要
(1)ガス絶縁変電所では,変圧器を除いた母線,遮断器,変成器,避雷器などをSF6ガスで絶縁された金属容器に収納しており,この諸機器をまとめて,ガス絶縁開閉装置(GIS)と呼んでいる。
なお,SF6ガスの圧力は,0.3〜0.6MPa程度で封入されている。
また,圧力を0.1MPa程度以下としたキュービクルタイプのC-GISも66kV級を中心に採用されている。
(2)GISによると高電圧機器ほど設備の縮小化が図れる。
近年の用地取得の困難性や地価高騰に対処するため,縮小化を主目的とし,また,併せて設備の信頼度向上や省力化を図るために採用することが多くなった。
66kV以上の送配電用変電所および自家用変電設備にも普及している。
(3)SF6ガスは安定度が高く,不活性,不燃,無毒,無臭の気体である。
比重は空気の約5倍,絶縁耐力は平等電界で大気圧で空気の2〜3倍,約3気圧で絶縁油と同等になる。
気体絶縁物としては最も適している。
またガス遮断器の消弧媒質として使用した場合,SF6ガスの特殊な特性により消弧力は一般に空気の100倍と言われている。
(4)GISの製作にあたっては,コロナが発生しない電界にするよう設計し,精度の高い工作や異物の混入を防ぐなどの品質管理が必要である。
GISの保守管理は空気絶縁の設備より省力化されるが,日常の保守管理として,ガス圧力の監視,水分の管理などが必要である。
2.ガス絶縁変電所の利点
(1)縮小化
従来形変電所のスペースは,母線およびその他充電部の空気による絶縁距離を確保するために大半が占められている。
GISを採用すると,絶縁間隔を小さくでき,また,立体配置とすることもできるので,極めて縮小化が図れる。
また高電圧であるほど縮小化の割合が高く,地価や賃借料が高い場合に特に有利である。
(2)安全性が高い
金属容器内に密封され,充電部が露出していないので安全性が高い。
(3)信頼度が高い
密封形であるため,塩じんなどによる汚損の恐れがないなど,外部環境による影響がなく信頼度が高い。
(4)省力化
信頼度が高いため,日常の保守も軽減され,点検のインターバルを長くとれるなど,省力化を図れる。
また工場で組立,試験をして輸送されるので,現地での作業工程が短縮され,省力化される。
(5)環境対策
空気遮断器は開閉時の騒音が大きいが,ガス遮断器によれば騒音が小さい。
また火災や事故による周囲への影響が少なく,設備が縮小化される点も環境対策上,有利である。
3.まとめ
ガス絶縁変電所の概要と利点について説明しました。
ガス絶縁変電所は,変圧器を除いた母線,遮断器,変成器,避雷器などが,絶縁耐力や消弧力に優れたSF6ガスで満たされた金属容器に収納されている。
圧力を0.1MPa程度以下としたキュービクルタイプのC-GISも66kV級を中心に採用されている。
なお,SF6ガスは安定度が高く,不活性,不燃,無毒,無臭の気体である。
GISによる変電所は高電圧ほど設備の縮小化が図れることから,変電所の用地面積を縮小化でき,用地費を抑制できる。
GISの製作では,コロナを発生させないよう電界の設計を行い,精度の高い工作や異物の混入を防ぐなど,品質管理が重要である。
保守管理面では,空気絶縁の設備より省力化されるが,日常の保守管理として,ガス圧力の監視,水分の管理などが必要である。
ガス絶縁変電所のメリットは,縮小化,保守の安全性の高さ,密封形による信頼度の高さ,保守の省力化,工期の短縮化,リプレース工事での活用,環境対策面では騒音などが小さい点があげられる。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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