電力系統の調相設備を解説[変電所15]

 

調相設備が電力系統に用いられる理由を説明する。

 

目次

  1. 系統の電圧変動を改善するため
  2. 系統の電力損失を軽減するため
  3. 系統の発電機・変圧器・線路の容量を低減するため(利用率を向上させるため)
  4. 系統の安定度を向上するため
  5. 系統の電力潮流を改善するため
  6. まとめ

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電力系統における負荷設備は有効電力(有効電流)とともに無効電力(無効電流)の供給を要請し,電力系統の諸施設においてもそれらを要求する。

 

この無効電力の供給源として用いられるのが調相設備である。

 

以下に調相設備の用途を説明する。

 

1.系統の電圧変動を改善するため

  

調相設備のない場合は,負荷の無効電力だけでなく系統内の変圧器の励磁無効電力,線路および変圧器のリアクタンスによる無効電力なども加わり,そのすべてを発電機から供給するので,無効電力による系統の電圧降下が大きい。

 

これに対して受電端近くに調相設備を設置して,これから無効電力を供給すると系統の電圧降下は低減される(系統の電圧変動が改善される)。

 

また系統の軽負荷時には受電端近くの火力発電所のタービン発電機を調相運転(低励磁進相運転)させて,系統の進相電力を吸収して系統の電圧上昇を抑止し電圧変動を低減させることもある。

 

2.系統の電力損失を軽減するため

 

調相設備のない場合は系統の無効電力は大きく,皮相電力も大きいので,線路電流が大きくなる。

 

その結果,系統の各部分に生じる電力損失I^2✕rも大きくなる。

 

一方,調相設備を用いると系統の皮相電力(線路電流)が低減されて電力損失は軽減される。

 

3.系統の発電機・変圧器・線路の容量を低減するため(利用率を向上させるため)

 

 系統の全無効電力を発電機から供給しようとすると,そのkVA出力が増大して,所要容量が増加するので製作コストが高くなる。

 

このことは系統の変圧器や線路の所要容量などについても同様である。

 

これに対して無効電力を調相設備によって線路途中で供給すると,余分な無効電力を送る必要がないので,それらの容量を低減することができる。

 

4.系統の安定度を向上するため

 

調相設備によって電力系統の電圧変動を少なくすることは,系統の安定度を向上させることになる。

 

特に中間調相機を設置して安定度の向上を図ることもある。

 

さらに,タービン発電機の低励磁運転では自動電圧調整器(AVR)を用いて安定度の向上を図ることもある。

 

5.系統の電力潮流を改善するため

 

調相設備によって系統,特に連系点の無効電力の潮流を改善して高効率送電を行うことができる。

 

6.まとめ

  

 電力系統に調相設備が用いられる理由を説明しました。

 

電力系統に無効電力を供給することにより,系統の電圧変動の改善,電力損失の軽減,発電機・変圧器・線路の容量の低減,安定度の向上,電力潮流の改善が得られることから,系統に調相設備が活用されている。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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