電力設備に使用される保護継電装置のデジタル化が進んでいるが,デジタル形保護継電装置の特徴について説明する。
目次
- 高性能化・高機能化
- 高信頼度化・保守の省力化
- 小型化・低消費化
- 標準化指向
- 融通性
- 低負担化
- 経済性
- 系統運用の自由度の増大
- まとめ
電力系統の規模の拡大,系統構成の複雑化は,保護継電装置に対し,従来以上の高性能化,高信頼度化を要求しており,このニーズに応えるべく適用されるデジタルリレーの特徴を説明する。
1.高性能化・高機能化
デジタル形保護継電装置は,デジタル演算処理能力を活かして,従来にない新しいリレー特性,機能および高速動作を実現できる。
例として,多端子保護機能,併架送電線などで問題となる零相循環電流対策,長距離送電線や地中送電線の充電電流補償など。
2.高信頼度化・保守の省力化
デジタル処理機能により,継電装置全体の自動監視・自動点検を高精度,広範囲に行える。
よって継電装置の故障,異常の発見が容易になり,予測制御などの高度な制御も可能となり,保守点検の省力化が図れる。
また,二重化することで,信頼度の向上が可能である。
機械式リレーをほとんど必要としないので,接点不良による故障が少ない。
さらに従来のアナログ形保護継電装置は,部品の経年劣化によるリレー特性の変化があったが,デジタル形保護継電装置は,ソフトウェアにより特性を作るため,部品の経年劣化の可能性は少なく,常に高い信頼度を確保できる。
また,デジタル化は通信機能と相性が良いので,遠方監視に適する。
3.小型化・低消費化
アナログ形保護継電装置は,単機能の保護継電器を多数組み合せて所要のシステムを構成しているのに対して,デジタル形保護継電装置は1台のコンピュータで多くのリレー要素の演算処理ができるため,構成部品が少ない。
よって保護継電装置の小型化,縮小化が容易になり,低消費化につながる。
4.標準化指向
アナログ形保護継電装置は,保護特性および定格値により多くの品種を必要としているが,デジタル形保護継電装置ではリレー要素をソフトウェアで作ることから,ハードウェアの大幅な標準化を図れる。
5.融通性
保護機能の改造,変更などは,ソフトウェア(ROM)の変更で簡単に対処できる。
6.低負担化
アナログ形継電装置は,個々の継電器を駆動する電圧,電流情報を入力する必要があるのに対し,デジタル形継電装置はその必要がないため変成器の低負担化が図れる。
7.経済性
多くの長所によるコストパフォーマンスの改善効果が大きい。
また半導体素子は経済的に有利である。
8.経済性系統運用の自由度の増大
整定値の変更は,アナログ形保護継電装置においては,リレーを使用したまま行うことが不可能ではあるが,デジタル形保護継電装置は運用した状態での変更が可能であるため,系統運用の自由度が増大する。
9.まとめ
電力設備に使用される保護継電装置のデジタル化が進んでおり,ここではデジタル形保護継電装置の特徴について説明しました。
デジタル形保護継電装置により,高性能化・高機能化,高信頼度化・保守の省力化,小型化・低消費化,標準化,融通性の向上,低負担化,経済性の向上,系統運用の自由度の増大といったメリットが得られます。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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