1.ケーブル常時許容電流
ケーブルの常時許容電流 I は次の式で与えられる。
ここで,
T1:心線の常時許容最高温度
T2:基底温度
Td:誘電体損失による温度上昇分
n:ケーブル心線数
rac:導体実効抵抗
Rth:全熱抵抗
n,T1はほぼ一定であるので,ケーブルの常時許容電流 I を増大させるためには,rac,T2,Td,Rthを減少させれば良い。
2.ケーブル常時許容電流を増大させる方法
(1)太い導体を採用する
racの減少に効果がある。
ケーブルを離して,近接効果を小さくすることも,等価的にracの減少に効果がある。
(2)強制冷却する。
T2の低下に効果がある。
①ケーブルもしくは管路のそばに水冷管を布設して間接的に冷却する。
②洞道布設の場合,洞道内の空気を冷却する。
③管路布設の場合は,管路内に水を入れ循環冷却する。
④パイプタイプケーブルの場合,パイプ内の油(またはガス)を循環冷却する。
(3)低損失絶縁体の採用
誘電正接 tan δの小さいCVケーブル等,Tdの低下に効果がある。
(4)バックフィルの改良
熱放散をよくするため,ケーブルあるいは管路周りを固有熱抵抗の低い物質で埋める。
Rthの減少に効果がある。
(5)シース損を減少させる
クロスボンド方式として,循環電流を抑制して回路電流損を低減させる。
シースに抵抗率の高い金属を用いたり,ケーブル間隔を大きくして,周囲のケーブル電流の影響によって生じる渦電流損を低減させる。
(6)新種ケーブルの採用
SF6ガス絶縁を適用した誘電損がほとんど生じない管路気中送電,導体内直接冷却ケーブル,極低温または超電動ケーブルを採用する。
3.まとめ
地中ケーブルの電流容量の増大方法について説明しました。
具体的には,太い導体の採用,強制冷却の採用,低損失絶縁体の採用,バックフィルの改良,シース損の減少,新種ケーブルの採用があげられる。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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