火力発電所におけるタービン臨界速度(危険速度)とクロス形タービン(クロスコンパウンド形タービン)について説明する。
目次
- タービン臨界(危険速度)
- クロス形タービン(クロスコンパウンド形タービン)
- まとめ
1.タービン臨界(危険速度)
タービン軸などの高速回転体は,製作時に静的,動的な均衡を極力とるように努めるが,永年の運用による不均衡が残るのはやむを得ない。
高速回転時に軸はこの残存不平衡荷重の作用によって,回転数に等しい旋回運動をするが,これが軸の曲げ固有振動数に合致すると共振を起こし,車軸に非常に大きな振動が発生する。
この振動によって,軸受の損傷,ラビリンス摩耗,動翼あるいはディスクのクラックなどの大事故につながる場合がある。
この共振発生時のタービン回転速度を臨界速度といい,これが定格速度付近に絶対に現れないよう設計されており,定格速度との隔たりを20%以上とるように規定されている。
に.クロス形タービン(クロスコンパウンド形タービン)
高圧・中圧・低圧の各タービンを2〜3軸に組み合わせて配列し,軸ごとに発電機を接続したタービンで,蒸気は各軸間をクロスして流れ,1台のタービンとして運転されるもので,各軸単独で運転することはできない。
特徴は以下の通り。
①タービンに比べて発電機は単機の容量に製作限界があるので,1軸当たりの発電機容量が小さくなる。
この形式では,タンデム形タービンよりも大容量な火力ユニットを製作できる。
②タービン発電機セットの軸長が短くなるため,大容量ユニットでは据付運転上,有利になる。
③タービン据付面積は,軸方向の長さは短く,幅は増加するので,全体として多少増加するが,ボイラ幅が大きくない時は建物の利用度が良くなる。
④クロス形は並列前に各軸を同期化する必要があるので,設備は幾分複雑になる。
⑤2軸それぞれのタービン速度は必ずしも同一にする必要がない。
2軸目の最終段に40インチなどのような長い羽根を使用することが可能になり,高効率タービンとすることができる。
3.まとめ
火力発電所におけるタービン臨界速度(危険速度)とクロス形(クロスコンパウンド形)タービンについて説明しました。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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