火力発電所の変圧運転の概要と熱効率を解説[火力発電所12]

 

火力発電所の変圧運転の概要と,定圧運転時と比較した場合の変圧運転時の熱効率特性について説明する。

 

目次

  1. 変圧運転の概要
  2. 定圧運転と比較した熱効率特性
  3. まとめ

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1.変圧運転の概要

  

従来の汽力発電ユニットの負荷調整は,出力が蒸気流量(蒸気圧力と加減弁開度の積にほぼ比例)に比例するので,ボイラの圧力を一定に保ち,タービン入口の加減弁を調整する定圧運転であった。

 

近年,加減弁開度は一定(通常は全開)に保ち,主蒸気圧力のほうを変えることによりタービン流入蒸気量を調整する変圧運転が行われるようになった。

 

変圧運転の方式としては,最低負荷から全負荷まで加減弁開度を一定に保つ完全変圧運転と,部分負荷運転時のみ変圧運転を行う複合運転がある。

 

変圧運転の特長は以下の通り。

 

①熱効率の向上

 

②部分負荷運転で圧力を下げるため材料の寿命が長くなる

 

③部分負荷で圧力は変わるが,タービン温度が低下しないので,ケーシング温度を高く保ったまま停止でき,始動時間を短縮できる

 

これらの特長よりピーク負荷用,中間負荷用に採用されている。

 

2.定圧運転と比較した熱効率特性

 

 変圧運転は定圧運転と比較して,部分負荷で蒸気圧力を下げるので,熱サイクルは低下するが,次の熱効率効果があり,全負荷から部分負荷まで全領域にわたって熱効率の向上が可能である。

 

①蒸気流量がほぼ一定なのでタービン入口調速段が不要で,タービン効率が高い。

 

②部分負荷でも加減弁開度がほぼ全開にたもたれるので,絞り損失が減少し,タービン効率が低下しない。

 

③部分負荷でも蒸気温度が低下しないので,熱サイクル効率の低下が少ない。

 

④部分負荷では蒸気圧力を下げるため,給水圧力も少なくてすみ,給水ポンプの動力が減少するので,熱効率が向上する。

 

3.まとめ

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 火力発電所の変圧運転の概要と,変圧運転時の熱効率特性を定圧運転時の比較結果を説明しました。

 

変圧運転は加減弁開度は一定(通常は全開)に保ち,主蒸気圧力のほうを変えることによりタービン流入蒸気量を調整して運転する方式である。

 

変圧運転の特長として,熱効率が向上する,部分負荷運転で圧力を下げるため材料の寿命が長くなる,部分負荷で圧力は変わるが,タービン温度が低下しないので,ケーシング温度を高く保ったまま停止でき,始動時間が短縮するなどがあげられる。

 

変圧運転と定圧運転を比較すると,変圧運転は部分負荷で蒸気圧力を下げるので,熱サイクルは低下するが,タービン効率が高く,熱サイクル効率の低下は限定的である。また,蒸気圧力を下げるため,給水ポンプの動力も減少して熱効率が向上する。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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