蒸気タービンの保安装置の解説[火力発電所9]

 

蒸気タービンを緊急停止させる主要な保安装置をあげて,それらの動作について説明する。 

 

目次

  1. 過速度を検出する非常調速装置
  2. 軸受給油圧喪失を検出する油圧低下トリップ装置
  3. スラスト(推力)軸受摩耗を検出するスラスト軸受摩耗遮断装置
  4. 排気室真空低下を検出する復水器真空低下トリップ装置
  5. ソレノイドトリップ装置
  6. まとめ

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蒸気タービンの保安装置は,過速度,軸受給油圧喪失,スラスト軸受摩耗,排気室真空度低下,振動異常を検出しタービンを停止させる。

 

これらの保安装置について説明する。

 

1.過速度を検出する非常調速装置

 

非常調速装置は,負荷遮断により蒸気タービンが開放されて速度が上昇すると,定格速度の111%で作動してタービンを停止させる。

 

タービン主軸先端に取付けられて,ばねにより支えられた偏心リングが,過速に伴う遠心力のため,ばねの力に打ち勝って飛び出し掛けがね(クラッチ)を叩く仕組みになっている。

 

これにより,停止用シリンダ弁を開き,主さい止弁などの弁を閉じてタービンへの蒸気流入を遮断する。

 

2.軸受給油圧喪失を検出する油圧低下トリップ装置

 

油圧低下トリップ装置は,タービンの軸受油圧が規定値以下に下がったときは,制御油オイルシリンダ内の制御油圧を逃して,主さい止弁などの弁を閉じてタービンを緊急停止させる。

 

3.スラスト(推力)軸受摩耗を検出するスラスト軸受摩耗遮断装置

 

スラスト軸受摩耗の検出方法は,温度検出法や油圧検出法などがある。

 

油圧検出法は油をノズルから噴射させ,スラストカラーに両側から吹きつける。

 

移動による油圧の変化を圧力スイッチまたはパイロット弁で検出し,これによりタービントリップソレノイドを励磁し,タービンバルブを急速に閉鎖する。

 

4.排気室真空低下を検出する復水器真空低下トリップ装置

 

復水器真空低下トリップ装置は,圧力検出装置であって,復水器の真空室に連絡されたベローとばねで構成されている。

 

復水器内の真空度がある定められた値以下に低下すると,ばねの力によりレバーが作用し,タービントリップ用のダンプ弁を作動させる。

 

ダンプ弁はこの装置のトリップ動作によって制御油を遮断し,各蒸気弁を全閉させる。

 

5.ソレノイドトリップ装置

 

ソレノイドトリップ装置は,非常調速機,真空低下遮断装置を操作してタービンを停止させるものである。

 

タービンの故障以外の電気関係事故にも動作する。

 

6.まとめ

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蒸気タービンの保安装置として,過速度,軸受給油圧喪失,スラスト軸受摩耗,排気室真空度低下,振動異常を検出しタービンを停止させる装置について説明した。

 

負荷遮断によるタービン過速度が定格速度の111%になると非常調速装置が動作して,主さい止弁やその他の弁を閉じて,タービンへの蒸気流入を遮断する。

 

タービンの軸受油圧が規定値以下に下がった場合,油圧低下トリップ装置が作動して,主さい止弁やその他の弁を閉じて,タービンへの蒸気流入を遮断する。

 

スラスト軸受の摩耗が生じると,スラスト軸受摩耗遮断装置が作動してタービントリップソレノイドを励磁して,タービンバルブを急速に閉鎖する。

 

復水器内の真空度がある値以下に低下すると,復水器真空低下トリップ装置が作動し,タービントリップ用のダンプ弁を作動させる。

 

ソレノイドトリップ装置は,非常調速機,真空低下遮断装置を操作してタービンを停止させるもので,タービン故障以外の電気系トラブルにも動作する。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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