大型の水車発電機とタービン発電機との主要な相違点をあげて,それぞれの特徴を説明する。
目次
- 設置方式
- 回転速度
- 危険速度
- 回転子
- 発電機冷却方式
- ブレーキ
- 短絡比
- 同期インピーダンス
- まとめ
水車発電機とタービン発電機との相違点および特徴は次の通り。
1.設置方式
高速度のタービン発電機は,回転子径を極力小さくし軸方向に長い構造となっている。
それに対して,水車発電機は回転子径が大きく軸は短い。
この軸長の相違もあって据付はタービン発電機が横軸で,水車発電機は縦軸となっている。
2.回転速度
各発電機の原動機である水車と蒸気タービンの回転速度に大きな相違がある。
水車発電機は利用する水力地点の落差に応じて定められる比速度の限界内で比較的高い回転速度を選ぶが,たかだか200〜400rpm程度の低速で多極機となる。
これに対してタービン発電機は,主としてタービンの最終段の動翼と発電機回転子の機械的強度の点から1500〜3600rpmと高速のものが採用され,2または4極機である。
3.危険速度
タービン発電機は,軸長が長いので危険速度(臨界速度)が定格回転速度より低いところにあるのが普通であり,これに近い速度で運転すると共振を起こし危険である。
一方,水車発電機では危険速度が定格速度より十分高いので実用的にはほとんど問題にならない。
4.回転子
回転速度の相違から,水車発電機は回転子直径が大きいので設計が容易で経済的な突極形を採用し,磁極には成層鉄心が用いられ,不平衡電流に対する特性改善のため制動巻線を持つ。
また負荷遮断時の速度上昇を抑えるため,固有値以上のはずみ車効果をもたせる場合もある。
一方,タービン発電機は高速度での遠心力に対する十分な強度を保持するため円筒形を採用し,磁極は一塊鍛造品で,制動巻線はなく,ウェッジで代用している。
5.発電機冷却方式
タービン発電機は高速機であるため,水素冷却を採用し機械損を減少させ効率を向上させている。
また固定子巻線の直接水冷却を採用し冷却効果を高めることによって発電機の小型化を図っている。
一方,水車発電機は低速度であるため経済的な面から水素冷却は用いられず,空気冷却としている。
最近は大容量化のため,固定子および回転子に水冷却を採用している場合もある。
過速度耐量で見た場合,タービン発電機は定格回転速度の15%以内であるが,水車発電機では30%以上ある。
6.ブレーキ
水車発電機は軸受保護のため,停止時に定格回転数の10〜30%でブレーキをかけて停止させるが,タービン発電機にブレーキはない。
7.短絡比
水車発電機が0.8〜1.2程度であるのに対して,タービン発電機では発電機の小型化をはかるため,0.5〜0.7を採用している。
8.同期インピーダンス
短絡比の小さいタービン発電機は同期インピーダンスが大きく電圧変動が大きい。
一方短絡比の大きい水車発電機は同期インピーダンスが小さく電圧変動率が小さい。
9.まとめ
大型の水車発電機とタービン発電機との主要な相違点をあげて,それぞれの特徴について説明しました。
要点をまとめると以下の画像のようになります。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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