小水力発電所に使用される誘導発電機と同期発電機を比較して,誘導発電機の利点および欠点を説明する。
目次
- 誘導発電機の利点
- 誘導発電機の欠点
- まとめ
誘導発電機は同期発電機と比べて,励磁機を必要とせず,構造が簡単で保守が容易などの利点がある。
よって,1000kW程度以下の小水力発電所で経済性を高め,発電コストを下げる1つの方法として採用されている。
1.誘導発電機の利点
(1)かご形回転子を使用できるので,構造が簡単で丈夫であり,価格が安い。
(2)運転制御上の付属設備が非常に簡単である。
例えば,同期発電機の場合に必要である励磁機や,電圧調整器,水車調速機などが不要であり,経済的にも保守上からも有利である。
(3)起動,並列投入,運転における操作が簡単である。
例えば,並列投入に際しては同期発電機の場合のような複雑な同期化の手続きが不要であり,運転中の負荷の制御も水位調整機のみによって取水に応じた負荷をとるようにすることが可能であるため,遠方制御や一人制御方式とすることが容易である。
(4)短絡事故の際に短絡電流の減衰が早く,持続短絡電流が流れない。
(5)回転子がかご形であるため,突極機に比べて高い回転数の採用が可能で,速度上昇率を高くとれるため,はずみ車効果(GD2)も小さくてよい。
2.誘導発電機の欠点
(1)単独で発電することが難しく,必ず他の同期発電機と並行運転することが必要である。
(2)負荷に対して無効電力を供給できない。
また,誘導発電機自体に必要な無効電力を並行運転されている同期発電機からとることになるため,系統の力率を悪くする。
場合によっては力率改善用のコンデンサが必要となる。
(3)発電機出力が決まれば力率が決まり,低負荷あるいは回転数の遅い機械では力率が悪くなる。
(4)回転子と固定子との空隙が小さいので,取扱いに注意が必要である。
(5)並列にあたっては回転数を同期速度近くにそろえ,投入時の始動電流をできるだけ制限するように並列するが,それでも電力系統に相当な大きな衝撃を与えることになる。
そのため並列する送電系統の安定度を検討しなければならない。
(6)回転速度が過大になると,発電機のトルクが減少するので,原動機が逸走し無拘束速度近くまで上昇する。
そのため過負荷や低電圧にならないように注意を要する。
(7)力率改善用コンデンサがつながったまま系統から分離されると,自己励磁現象で電圧が異常上昇する恐れがある。
3.まとめ
小水力発電所に使用される誘導発電機と同期発電機を比較して,誘導発電機の利点および欠点を説明しました。
主な利点として,かご形回転子を使用できるので,構造が簡単で丈夫で,付帯設備も少なく,価格が安い。起動,並列投入,運転における操作が簡単。短絡電流の減衰が早く,持続短絡電流が流れない。突極機に比べて高い回転数の採用が可能で,速度上昇率を高くとれるので,はずみ車効果(GD2)も小さくてよいことがあげられる。
また,主な欠点として,単独での発電が難しい,無効電力を供給できない,投入時の始動電流をできるだけ制限しているが,それでも電力系統に相当な大きな衝撃がある,回転速度が過大になると,発電機のトルクが減少し,原動機が無拘束速度近くまで上昇することがあげられる。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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