誘導発電機の種類を解説[発電機11]

 

励磁方式の違いによる誘導発電機の種類をあげて,概要を説明する。 

 

目次

  1. 他励式誘導発電機
  2. 自励式誘導発電機
  3. 二次励磁式誘導発電機
  4. まとめ

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誘導発電機は励磁方式によって,他励式誘導発電機,自励式誘導発電機,二次励磁式誘導発電機の3種類に分類される

 

1.他励式誘導発電機

 

(1)概要

  

回転磁界を作る励磁電流を交流電流から一次巻線に受ける方式で,かご形または巻線形誘導機が用いられる。

 

回転子を原動機によって,同期速度以上に回転させると,滑りは負となり二次導体が回転磁界を追い越すため,二次起電力と二次電流ならびに一次負荷電流の方向が誘導電動機の場合と反対になる。

 

それゆえに,トルクは回転方向と逆になって,原動機よりの機械入力は電気出力に変換されて交流電源側に送出される。

 

(2)主な特徴

 

①特性は電動機としての等価回路や円線図において滑りを負の領域として容易に求められる。

 

②励磁電流を供給する交流電源なしでは発電不能。

 

③発電機の突発短絡でも発電機側の短絡電流が少ない。

 

④原動機は発電機の出力と損失を供給するが,負荷および発電機の無効遅れ電力は全て電源側で供給するため電源の力率を低下させる。

 

2.自励式誘導発電機

 

(1)概要

 

前項の誘導発電機の無負荷励磁容量に等しいコンデンサを一次巻線に接続して回転子を同期速度で回転すると,残留電圧によってコンデンサに流れる無効電流が発電機を自己励磁して定格電圧を確立する。

 

この誘導発電機に負荷を与えると,発電機内で漏れリアクタンスにより遅れ無効電力が生じて端子電圧が低下するので,コンデンサ容量を増加して電圧降下を補償する必要がある。

 

このように,他励式で交流電源から供給される無効電力をコンデンサの無効電力によって置換する方式を自励式誘導発電機という。

 

(2)主な特徴

 

①交流電源が不要で単独で発電が可能である。

 

②定格電圧を維持するには負荷に応じてコンデンサ容量を微調整できる装置が必要。

 

③発電機端での突発短絡でも短絡電流は少ない。

 

3.二次励磁式誘導発電機

 

 (1)概要

 

巻線形誘導機の二次巻線に滑り周波数の励磁電流を流し,一次巻線から定格周波数の電力を取出す方式である。

 

滑り周波数の交流励磁機としては交流整流子形のものが用いられ,発電機と励磁機とを直結することによって原動機の速度の変化に対して一定周波数を得る方法もとることができる。

 

二次滑り誘導起電力に対して,印加する滑り励磁電圧の大きさと位相を調整することによって負荷の増減および負荷の無効電力も供給できる。

 

(2)主な特徴

 

①一般に交流励磁機用の電源が必要である。

 

②遅れ力率や進み力率の負荷へ電力の供給が可能。

 

③励磁機を含め励磁装置により高価な発電機となる。

 

3.まとめ

  

 励磁方式の違いによる誘導発電機として,他励式誘導発電機,自励式誘導発電機,二次励磁式誘導発電機の概要と主な特徴について説明しました。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう! 

 

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