電力系統において,遮断器の開閉によって発生するサージの種類とその防止対策について説明する。
目次
- 容量性小電流の遮断
- 無負荷送電線などの投入
- 無負荷変圧器の励磁電流などの誘導性小電流の遮断
- その他の要因
- まとめ
遮断器によって電力系統を開閉する際には,一般にかと現象として内部異常電圧が発生し,特に誘導性あるいは容量性電流の場合にその値が高い。
したがって,普通,開閉サージとは,無負荷送電線,無負荷ケーブルや電力用コンデンサなど容量性小電流の開閉および無負荷変圧器やリアクトルなどの誘導性小電流の開閉による中間周波数の異常電圧のことを指す。
1.容量性小電流の遮断,
容量性小電流の遮断の場合,再点弧によるサージが発生することがあるが,これは遮断器と回路条件との両者の関係による。
その原因は,容量性小電流を遮断した後に,遮断器の極間に加わる回復電圧が,静電容量側に残った電荷によって電源電圧よりも高くなるためで,極間電圧の高くなったところで極間の絶縁耐力が十分でないと再点弧し,電源側および静電容量側にサージが発生することがある。
それには圧縮空気の吹付けや,油圧を吹き付けることが有効である。
しかし,中途半端な方法では,かえって高いサージを発生する再点弧を招く危険がある。
2.無負荷送電線などの投入
無負荷送電線などの投入時に発生するサージで,特に超高圧での高速度再閉路などの際に,線路側に残留電荷の残っているときの再投入は,危険なサージを発生することがある。
すなわち残留電荷が残っているときに投入することは,再点弧と同じようなサージを発生し,さらに遮断器の投入の時間的なばらつきがあると,極端な場合は数倍のサージが発生することもある。
これを防止する方法は高速再閉路の採用によってある程度は防ぐことができるし,投入のばらつきを少なくすることも効果がある。
ただし,最も有効なのは,投入に際して適当な値の抵抗を介して投入し,その後抵抗を短絡する抵抗投入方式を採用することである。
この方法は500kV以上の超高圧送電線では,開閉サージに対する気中絶縁耐力が特に弱くなる傾向にあるため,開閉サージを2.2〜2.5倍以下にする目的で採用されている。
その抵抗の値は抵抗投入時には高いほうがよいが,短絡する際には低いほうがよく,図のように400〜800Ωくらいが最適値である。
3.無負荷変圧器の励磁電流などの誘導性小電流の遮断
無負荷変圧器の励磁電流など,誘導性小電流を遮断するときには,電流さい断現象によってサージを発生し,その大きさは,さい断電流が大きいほど,変圧器のサージインピーダンスの大きいほど大きい。
これは消弧力の強い遮断器による一種の直流遮断のような現象で,これを防止するためには,遮断器の極間に非直線性抵抗体を挿入することなども効果があるが,系統に避雷器を設置することによっても容易に防止できる。
4.その他の要因
これらのほか,変圧器の高電圧側における不ぞろい投入が変圧器の低圧側に誘導されるサージや,不ぞろい開閉によって系統の不平衡による過電圧などがある。
これらは遮断器の不ぞろい開閉を少なくすることが大切であるが,系統の接続法などによっても防止できる。
5.まとめ
電力系統のおける遮断器の開閉によって発生するサージの種類とその防止対策について説明しました。
具体的には,容量性小電流の遮断,無負荷送電線などの投入,無負荷変圧器の励磁電流などの誘導性小電流の遮断について,解説しました。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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