単巻変圧器の長所と短所を解説[変圧器1]

単巻変圧器の長所と短所を説明する。また,使用例を説明する。

 

目次

  1. 単巻変圧器の長所
  2. 単巻変圧器の短所
  3. 単巻変圧器の使用例
  4. まとめ

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1.単巻変圧器の長所

 

(1)小型で安価

 

(2)効率が良い

 

(3)電圧変動率が小さい(系統の安定化に役立つ)

 

(4)励磁電流が少ない

 

このような長所は,普通の二巻線変圧器においては全容量(変圧器の定格容量)が一次から二次に変成されるのに対して,単巻変圧器においては自己容量に等しい電力だけが変成されることに起因する。

 

例えば,単巻変圧器で電圧を10%下げる場合,変圧器自己容量は線路容量(定格容量)の10%になり,線路容量を基準にとると変圧器は自己容量が小さくなった分だけ小型になり安価になる。

 

自己容量が小さくなるため鉄損,銅損ともに小となり,したがって効率がよくなる。

 

また漏れインピーダンスが小さくなるので電圧変動率は小となり,変圧器が小型になるため鉄心も小型になり,磁束通路が短くなって励磁電流が小さくなる。

 

2.単巻変圧器の短所

 

(1)短絡電流が大となる。

 

(2)一方の故障が他方の巻線に波及する。

 

(3)直列巻線は絶縁を強化する必要がある。

 

漏れインピーダンスが減少することは,短絡電流が大になることを意味する。

 

短絡時の電磁機械力は電流の2乗に比例して増加するので,単巻変圧器は特に大容量の場合には機械的に丈夫な設計にする必要がある。

 

これが困難なときは直列に限流リアクトルを使用する。

 

非接地系統に単巻変圧器を使用する場合,高圧回路で接地が起こると低圧回路に影響するので,低圧側絶縁を高圧回路に準じて高めておかねばならない。

 

また低圧側に接続されている機器についても同様,絶縁強化の必要がある。

 

直列巻線は回路の異常電圧を直接うけるので,絶縁を強化するか,分路に保護用避雷器を使用する必要がある。

 

3.単巻変圧器の使用例

 

(1)送配電関係の使用例としては,中性点直接接地の超高圧系統の連結用(Y結線)を始め配電線の電圧調整用としての自動昇圧器などがある。

 

(2)電気機器関係の使用例としては,誘導電動機や同期電動機の始動時に,始動電流を制限するため電圧を低減して加える補償器始動などがある。

 

電動機の始動時には変圧器の中間タップに接続し始動が完了すると,単巻変圧器を切り離して電動機を電源側に切換える。

 

この操作は一般に限時継電器によって自動的に行う。

 

4.まとめ

単巻変圧器の長所と短所,また,使用例を説明しました。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

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