油入変圧器の冷却方式を解説[変圧器7]

油入変圧器に主に使用されている冷却方式を5つあげて,それぞれの原理および特徴を説明する。

 

目次

  1. 油入自冷式
  2. 油入風冷式
  3. 送油自冷式
  4. 送油風冷式
  5. 送油水冷式
  6. まとめ

☆あなただけに教えます!電験論説攻略の極意☆

 

変圧器は巻線および鉄心を直接冷却する媒体の種類とその媒体を冷却する冷却媒体の種類(空気または水)およびそれらの媒体の循環方式によって分類される。

 

油入変圧器の冷却方式の原理および特徴は次の通りである。

 

1.油入自冷式

 

(1)原理

 

巻線および鉄心の発生熱によって油が加熱され,油の対流循環によってタンクを通して外部に熱が放散されることにより冷却するものである。

 

(2)特徴

 

この方式では容量が大きくなると所要放熱量に対してタンクの表面積が不足するので,適当な方法によって所要放熱量に見合う表面積を稼ぐ必要がある。

 

容量が20kVA以上になるとタンク表面に波形のひだ(放熱板)を取付けたり,内部を油が循環できる放熱管を取付けて等価的に表面積を大きくし,放熱を良くしている。

 

また容量が数百kVA以上になると,放熱管を数〜数十本一括して組み立てた放熱器をタンクの周囲に取り付けて放熱面積を大きくしている。

 

油入自冷式は構造が簡単で保守も容易であるため,最も広く用いられている。

 

2.油入風冷式

 

(1)原理

 

油入自冷式の放熱器に,変圧器の外箱に取付けた冷却ファンによって風を吹き付けることで,放熱効果を増加させたものである。

 

風冷とすることによって放熱器表面の熱伝達率が自冷式の2〜3倍になるので,所要放熱面積が自冷式の約半分ですむ。

 

(2)特徴

 

風冷式とすることで,自冷式に比べて出力を20〜30%程度増加することが可能であるが,冷却ファンの電力損失を軽減するために,負荷が60〜70%以下のときは冷却ファンを停止して自冷式とし,負荷がそれ以上になると冷却ファンを自動運転して風冷式とする制御方式がしばしば採用されている。

 

ただし,送風機の保守,騒音の欠点があり,あまり採用されていない。

 

3.送油自冷式

 

(1)原理

 

自冷式放熱管を数〜数十本まとめた放熱器と,本体タンクとの油接続管の途中に油ポンプを設置して,放熱器と本体の油を強制循環させるものである。

 

(2)特徴

 

自冷式のような油の自然循環に比べて,油の上下温度差が小さく,放熱器の冷却面積が有効に利用できるため,自冷式と比べて所要放熱器が少なくてすむ。

 

4.送油風冷式

 

(1)原理

 

以下の画像に示すような強制風冷式冷却器(ユニットクーラ)を用いて,油ポンプによって強制循環した油を冷却するものである。

 

(2)特徴

 

冷却効率が高く,冷却器の所要スペースが少なくてすむという利点を有し,100MVA以上の大容量変圧器に最も多く用いられている。

 

この方式では,冷却ファンやポンプなどの補機損失を軽減するため,低負荷時には一部の冷却器の冷却ファンやポンプの運転を停止する群制御や,負荷に応じて冷却ファンやポンプの電源周波数を変化させる補機可変速運転などがしばしば用いられている。

 

5.送油水冷式

 

(1)原理

 

水冷式冷却器を用いて,油ポンプによって強制循環した油を冷却するものである。

 

(2)特徴

 

この方式も冷却効率が高いが,冷却水が漏れて絶縁油に混入すると,絶縁油の絶縁耐力が低下して絶縁破壊が生じるおそれがあるので,冷却水の圧力を油の圧力より低くするか,または二重管式冷却器を使用して,万が一,冷却水が漏水しても絶縁油に混入しないようにする必要がある。

 

6.まとめ

 

変圧器は巻線および鉄心を直接冷却する媒体の種類とその媒体を冷却する冷却媒体の種類およびそれらの媒体の循環方式によって分類され,油入自冷式,油入風冷式,送油自冷式

,送油風冷式,送油水冷式の5つの方式の原理,特徴について説明しました。

 

それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!

 

☆あなただけに教えます!電験論説攻略の極意☆