まず交流遮断器について説明し,気中遮断器について附言することとする。
1.定格遮断電流
すべての定格および規定の回路条件のもとで,規定の標準動作責務と動作状態に従って,遮断することのできる遅れ力率の遮断電流の限度をいい,遮断電流の交流分(実効値)で表す。
また直流分を含めて遮断電流の限度を表す場合は,定格非対称遮断器をもちいる。
なお気中遮断器の場合,交流用に対しては同様であるが,直流用に対して定格遮断電流を推定短絡電流の最大値で表す。
2.定格遮断容量
交流遮断器の定格遮断容量は次式で表される。
ただし単相用の場合には√3を省く。
定格遮断容量[MVA]=√3✕定格電圧[V]✕定格遮断電流[kA]
なお上式の定格遮断電流の代わりに,定格非対称遮断電流を用いたものを,定格非対称遮断容量という。
3.定格投入電流
すべての定格および規定の回路条件のもとで,規定の標準動作責務および動作状態に従って投入することのできる投入電流の限度をいう。
投入電流の最初の周波の瞬時値の最大(波高値)で表し,最大遮断電流の2.5倍を標準とする。
なおキチュウ遮断器の場合は交流用に対して同様であるが,定格遮断電流(10kA以下は2倍,10〜20kAは2.2倍,20kA以上は2.3倍)を標準とする。
直流用に対しては定格遮断電流に等しい値を標準としている。
4.標準動作責務
遮断器の動作責務というのは,1回あるいは2回以上の投入(遮断,または投入),遮断を一定の時間をへだてて行う一連の動作をいい,標準動作責務はそれを基準として,その遮断器の遮断容量や投入容量などが定められている動作責務をいう。
今,Oを回路動作,COは閉路動作に引き続き時間をおかず回路動作を行うものとすると,JEC2300では標準動作責務として次の3種類を規定している。
一般用(A)低速:Oー(1分)ーCOー(3分)ーCO
一般用(B)中速:COー(15秒)ーCO
高速度再閉路用:Oー(θ)ーCO ー(1分)ーCO
ただし,θは再閉路時間で,0.35秒を標準とする。
5.まとめ
遮断器における定格遮断電流,定格遮断容量,定格投入電流,標準動作責務について説明しました。
標準動作責務は事故解析等で重要な情報となりますので,実用的な話になりますが,よく覚えておいてくださいね。
それでは,人間万事塞翁が馬。人生,何事も楽しみましょう!
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